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プチュンバンの歴史

プチュンバン(盂蘭盆)はカンボジアの年間行事の中でも重要な宗教儀式の一つとなり、日本でのお盆に近いものとなります

この儀式は18世紀半ば、アンドゥオン王の統治時代に始まった上座部仏教の儀式であり、クメール暦(旧暦)の10月の月齢満月(1日目)より新月明け(15日目)まで15日間に亘って行われるます。プチュンバンとはクメール語の「プチュン(集まる)」と「バン(塊)」という単語を組み合わせたものであり、「バーイベン(米の塊)」とも呼ばれます。

上座部仏教では、僧侶は雨期の3カ月間(クメール暦の8月より11月まで)、寺院に籠って修行を行っていました。そのため、カンボジアの仏教徒はこの3カ月間、僧侶たちを手助けするために、食料を始めとして、修行に必要な物資を寺院に寄進していましたが、長い年月が過ぎ、現在では15日間と短くなっています。この15日間がプチュンバンであり、1日目から14日目までの「カーンベン」と、15日目の「ベントム」との二つの儀式からなり、この期間だけは、先祖の魂があの世とこの世を行き来できるようになると信じられています。

仏教の経典によれば、生きていた時に悪い行いをした人々が地獄に落ち、燃え盛る炎に焼かれていたところ、そこに高僧が訪れたといいます。それに気づいた人々は生きている親戚たちに、僧侶に施しを与え、徳を積むように伝えました。そうすることで、死んだ者たちは、苦しみから解放されるようになるのです。以降、カンボジアの人々はプチュンバンの時期になると僧侶に食べ物などを寄進するために、寺院に通うようになりました。その食べ物を僧侶たちが食べることで、間接的にご先祖様に届くとされます。そのため、プチュンバンの時期になると、家族みんなで集まり、食べ物や贈り物を準備し、多くの寺院を廻って寄進を行い、先祖の霊を慰めています。

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2020年度は9月2日の夜より17日までの15日間となり、16日から18日までがプチュンバン休みの祝日となります。一昔前のカンボジアではこの15日間に、7ヵ所以上の寺院を廻り寄進を行うのが一般的でしたが、現在では廻る寺院の数も減ってきています。

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