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象だ。2頭いる。人懐っこく、長い鼻を肩に乗せてくる。ここから今日3つ目の滝カティエンへと向かう。

写真を撮るために、象のドライバーに自宅の周りをぐるりと廻ってもらうように頼み、いろんなポーズをとってもらう。ここの象は座ることはできるが、動物園の象のように二本足で立つことはできないようだ。

準備された象乗り場から、背中に取り付けられている小さな台に乗り込む。象使いは象の首に座っている。象使いは進むように合図をするが、象は後ろを振り返るばかりでなかなか出発しようとしない。

片言でカンボジア語を話す少数民族の彼と、片言のカンボジア語を操る僕が、できるだけ簡単なカンボジア語を選び会話する。

この象は26歳の子象、カンベーンちゃんで、もう一頭が60歳のお母さん象、カンポーイさんだそうだ。26歳の彼女は未だ乳離れが出来ておらず、お母さんが一緒に来ないとどこにも行きたがらないそうだ。

やっとの思いで、出発する。10メートル進むごとに、”ヴゥオオオオオウフウウー”と少し悲しげな鳴き声を上げ、振り返り、今来た道を戻ろうとする。背中に座る僕の体全体に、鳴き声の振動が伝わってくる。

象使いはそれを許さず、戻ろうとする26歳の小象の耳の裏を蹴り、強く擦る動作と小さなナタを小象の頭に打ち付けて無理に進ませる。

途中、ゴム農園が現れた。赤土の本道から逸れ、農園の小道へと象を進ませる。実にゆっくりとした動作で一歩、また一歩と揺られながら進む。

作業をする人々が見える。ゴムの樹液は、半分に切られた椰子をお椀へと流れ込みやがて一杯となった椀から一杯一杯丁寧に、こぼれないようにバケツへと移している。

高配の続く小さな道、象の背の高さにいる自分に、木々の枝が流れ、当たる。

ゴム農園を越し、本道へと戻る。近くの民家で焚き火をしているようだ、白い煙が道一杯に広がって流れてくる。おびえる小象は前には絶対に進もうとせず、何度も、何度も引き返そうとし、”ヴゥオオオオオウフウウー”と呻き声をあげる。目の前に座る象使いは、乗っている僕がびっくりするようなナタの一撃を額に打ち付け、小象はそれで心を決めたようだ。

煙を越し、少し進むと6メートルほどの川が現れた、深度は1メートルほどだ。小象は嬉しそうに水を飲み、難なく川を乗り越えた。

到着だ。象乗り場で別れた案内人が、乗ってきたバイクに腰掛け、到着した僕に手を振っている。滝入口で象を見送り、滝を見る。きちんと階段が作られている。滝では坊主3人が水を浴び終わったところだった。

滝出口からすぐ近くには少数民族の民芸品売り場がある。ここには木彫り人形、ボウガン、手織りの綿製品などが売っている。民族衣装を纏った子供がボウガンを撃つフリをしながらこっちを見ている。乗ってきた象はすぐ近くで食事をしている。

帰りは案内人のバイクで象乗り場まで戻る。象に乗っていた時間は90分だったが、バイクで戻ると5分と掛からなかった。

まだ日は高い。町に戻り、コーヒーを飲みながら、更に詳しい情報を尋ね、明るいうちにラタナキリの地図製作をすすめる。ホテル、レストラン、その他の情報を集めた。これで明日の午後にはラタナキリから去ることが出来そうだ。

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ヤクロムには明日行こう。きっと明日も晴天だろう。

夕日と言えない薄曇りの中、太陽が沈んでいく。

ホテルへと戻り、バイクで傷ついた足を見る。黒いソックスには血がまったりと広がり、足の甲は腫上がっていた。あまり血が通っていないらしく、人差し指から薬指までは紫色に変色していた。
フロントで消毒液を貰い、バスタオルを足に巻きベットに入るが、ジンジンと感じる痛みでなかなか寝付けなかった。

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