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カンボジアで「ドラえもん」(小学館)や「花より団子」(集英社)、「クレヨンしんちゃん」(双葉社)などの漫画を出版していたこともあり、どうすれば海外で日本の漫画を出版することができますか?といったご質問を受けることがあるのでその方法と流れをご紹介しますね。(補足としては「ハローキティ」のご当地土産などもやってました)

    

 

マンガ・キャラクタービジネスのシステム

まず、基本的な話として知っておかなければいけないのは、マンガ・キャラクタービジネスでは、そのタイプによっては「書籍出版権」「グッズ販売権」「映像放放映権」「キャラクター使用権」など、いくつかに分かれているということです。

 

【例】

書籍出版権・・・マンガなどの出版権

グッズ販売権・・・キャラクターを利用したご当地グッズなどの製造販売権

映像放映権・・・テレビ、映画などの映像放送権

キャラクター使用権・・・会社のイメージなどにキャラクターを利用する権利

など

 

それに合わせて、それぞれの代理店がエリア単位であったりするので、適正な代理店と交渉を進める必要があります。(代理店が不明な場合は、そのキャラクタービジネスの担当部署に連絡すれば教えてくれます)

 

 

海外でマンガを正規出版するための流れ

漫画に関してですが、翻訳販売する場合はそれぞれの出版社からエリア(国単位)販売許可を取得してからスタートします。

 

基本的には、個人での許可はほぼ下りないと思ってください。出版社にとって一度出版始まったものが途中でストップすることが一番困ることなので、それなりに出版実績があるか、会社の規模・資産が大きくないと許可は出ません。(つまりあなたは出版社の現地代表・代理人となるみたいなものです。少なくとも周りから見たらそう見えるので、中途半端になって会社やマンガのイメージを損ねられるのが困るんです。)

 

【流れの一例(出版社により異なる)】

出版社担当者(通常は国際ライツ局)に連絡し販売したい旨を伝える(代理店がある場合はそちらを紹介してくれます)

 ↓

担当者に出版したい国での許認可状況の確認。まだ他社がやっていない場合は可能性があります。

 ↓

その国の基本情報(人口、識字率、人口構成など)などを担当者に送付。担当者がポテンシャルを考え、問題ないと判断されれば、出版希望タイトル、巻数、印税額などを具体的に確認、調整していく。(ケースによれば実際に担当者が視察に訪れて、記者の規模や国の現状を見ていきます)

 ↓

印税の支払い

 ↓

データづくり、クオリティ検査、発行

 ↓

販売開始

 

* 申し込みから販売までは出版社にもよりますが、半年~2年程度かかると思ってください。

 

 

海外出版するための費用

必要となる費用は、印税、翻訳費、制作費、印刷費、人件費、その他諸経費となります。

 

印税・・・出版社によりますが6~10%程度×発行部数×巻数

*発行部数は最低3000/5000冊程度~(国による)となり、希望の書籍が何巻まであるかにもよりますが、1タイトル当たり数千$から数万$となります)

翻訳費・・・出版する国により異なる(基本、自分たちで探す)

制作費・・・出版する国により異なる(基本、自分たちで探す)

印刷費・・・出版する国により異なるが、カンボジアの例を挙げると3000冊刷った場合は1冊0.4~0.6$程度。(紙の質、ページ数、サイズによる)

人件費・・・出版する国により異なるが毎月必要(営業、管理、配達、会計スタッフなどが必要)

その他諸経費・・・オフィス費、光熱費、インターネットなどの基本的なもの以外では、書籍の包装パッケージ、販促グッズ、ポスター、広告・広報費など

 

発行部数は最低5000部と仮定したら印税、印刷費、翻訳、データ作成で1巻あたり数千$~は最低かかります。(書籍は重版を繰り返さないかぎり、利益は出ません!)

 

制作に関して、画像元データはマンガを自分たちでスキャンして画像加工しなければなりません。

 

*ポイントは売れなくても途中でやめることができないことです。例としてドラえもんは45巻まであるのですが、その場合、最後まで出すことを確約する必要があります。

 

また、忘れてはいけないことですが、版権許可期間が過ぎた書籍は在庫が大量に残っていても販売してはいけないので破棄する必要があります。

 

カンボジアでのケースをご紹介

最近まで関係していた状況から説明すると、カンボジアでの漫画販売は完全に大赤字の事業でした。

 

カンボジアでマンガ事業を始めたのは2009年です。景気が良くなり、全体的にマンガを手にする余裕を持ってきた人々が増えたなと感じたのが2013年頃だったかなと思います。

 

しかし、カンボジアの場合、内戦の影響もあり、文字を読む文化があまり根付いていない。さらにクメール語自体が難しく、小学生ではきちんと読めないためターゲットが中学生以降となる。そういう状況が少し続いているうちに、ITは進化し、今では1ヵ月1~3$ほど払えばある程度スマホでユーチューブがみれるし、探せば無料で電子書籍が見つかる時代に突入してしまいました。

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今後、カンボジアではマンガは読むものではなく、ユーチューブなどで音声付きで見るもの(アニメ)としての位置づけと今後なっていくかと思います。

 

 

 

海外でマンガビジネスを成功させるには?

まず、はっきり分かっていることはマンガはテレビ放送があってこそ相乗効果を生みだします。つまり出版したいタイトルのマンガがすでにテレビ放送などがされていれば売れるのですが、そうでない場合は、放映権も購入しないとかなり厳しく、カンボジアの場合、これがないのがクリティカルです。

(ちなみに、ベトナムでは先に海賊版のマンガが大量発生し、その後正規ライセンス版にきりかわっていったという流れがありました。つまり海賊版がマンガ文化の土壌を作っていたのです)

 

テレビの放映権も購入(すでに放映していれば別)して、書籍も販売できるぐらいの予算(最低1億円以上)を投資できる余力がないとお勧めはいたしません。

 

もちろん、放映することで、グッズ販売なども可能性が出てくるのですべての権利を購入できれば相乗効果は生まれますが、人気マンガのタイトルが外れた時のマイナスシナジーもひどいものです。

 

 

 

個人的な意見と感想、そして活動

孤児院や学校への寄付活動

 

いろいろな方から、

  • 海外で出版したいけど紹介してください!
  • どうすればいいですか?
  • 予算はどのぐらいですか?
  • ボランティアで翻訳して子供たちに読ませてあげたいんですがどうすれば?

みたいな質問を受けてきた感想として、継続しなきゃいけないものは軽い気持ちで始めてはいけないということです。

 

ペットを飼うときも、ボランティアも同じですが、最後まで自分の責任でやっていける、面倒が見れるという意識、そのための財力がないとやっちゃいけません。

後で追いつめられるのは自分ですし、迷惑をかけるのは相手であり、周りの人たちとなるので。

 

ということで、きちんと状況を理解したうえで、やりたい方、やれる方はやればいいと思います。是非頑張ってくださいませ。

 

カンボジアで出版していて感じた事

物産展でドラえもん放送したらストリートチルドレンたちが集まってきてずっと見ていた。

ただ、カンボジアでやってた時に良かったなと思ったことは、いろんな学校やNGOなどにマンガを寄付したときに、子供たちが喜んでくれキャラクターをマネして描いていたりしていたこと。あと販売店やイベントでの販売時にくしゃくしゃのお金を子供たちが持ってきて買って行ってくれたりしたことですね。

こういうときの感情って「モノづくり」の人ならではなのかなって気がしたりします。

 

そう、業界は違うように思われてますが、これも「モノづくり」なんだろうなと思い、職人の心に気づいた気がします。

 

 

 

 

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