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* とある雑誌でボツになった原稿(1200文字指定)

 

 

【コラム】旅を作る仕事から見た、日本を廻る旅

 一介のサラリーマンとして5年間働いた会社に辞表を提出した。仕事にも給料にも不満はなく、一緒に働いていた仲間達にも恵まれ、環境としては良い方だったと思う。ただ、慣れ親しんだ環境から飛び出し、ほんの少し冒険して、そのうち戻ればいいかなという、思春期の家出みたいな感覚で海外へと飛び出した。

 

 学生時代は地元の学校で観光学を学んでいた。今思えば、本当に観光業に興味があったのかどうなのかも疑わしいが、きっと本心では社会に出るのを少しでも遅らせようと考え、出来れば楽で華やかな仕事に就きたいといった浮ついた気持ちだったのだろう。結果、卒業後は全く異なった業種で働くこととなり、そこで学んだことは全く活かされることはなかった…。

 

 日本社会からドロップアウトし、ニュージーランド、オーストラリアで生活し、カンボジアへと流れ着いた時には30歳を超していた。偶然なのか必然なのか、たまたま見つけた仕事が旅行業であった。学生時代になんとなく学んでいた授業が、手配や企画などの実務へと変わり、いつの間にかそれが生業となり、気がつけば12年が経過していた。学生当時、本気で旅行業への就職を望んで、夢半ばでそれぞれの道へと進んだ同級生のことを思うと、人生はそんなものなのだろうと思ったりもする。

 

 

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 アメリカ、エジプト、中国…、世界中、いくつもの国や都市を廻り、ずっと旅をしてきたが、ここ数年間、仕事を理由に日本へと戻ることが多くなった。その度に1週間から1ヵ月程の長期休みを組み合わせ、日本一周の旅を楽しむようになった。「鮭の川上り」ではないが、人間やりたいことが一通り終わってしまうと、生まれ育った環境へと戻りたくなるものかと考えたりする。

 

 

 旅を作る仕事。その視点から見た日本の観光には、様々な発見があり、そのポテンシャルには驚かされる。観光スポット、文化、歴史、芸術、自然、食事、移動手段、言語、そして人。日本人にはほとんど知られていない小さな町の観光でも、これらいくつかの要素が組み合わさることで、多くの外国人の誘致に成功しているケースがある。いろんな知識と体験、そしてそこにいる人を掛け合わせることで新しい文化を作り出すことができる。

 

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平成18年に成立した観光立国推進基本法。自国の民だけでは成り立たなくなった日本は、観光立国日本として「旅」というツールを使って世界中から外貨を稼がなくてはならなくなっている。それに伴い、今まで先進国以外の国々から「観光鎖国」をしていた日本も少しずつ変わってきている。日本を廻る旅、それは日本の変化に気づく旅でもある。

 

ライター: 西村清志郎(にしむらせいしろう)

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旅系フォトライター。執筆、編集、撮影業務などを行っている。旅行会社、レストラン、ゲストハウスなどを運営。高知県では「はりまや橋ゲストハウス」を運営中。ブログ「Office Seishiron」で海外から見た日本の視点でビジネス情報を配信。

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